春のお彼岸ですね。
『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく。山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。』
と、枕草子の中で清少納言が詠んだ有名な一節。
春は明け方が一番美しい。
静けさの中で 少しずつ夜が明けていく様子が、美しく詠われていて
新しいエネルギーをいっぱ感じるこの季節に、優しく馴染んでこころに溶け込んできます。
その中で、春分の日は、昼と夜の長さが 同じになる24節気の大きな節目の日。
春分の日を中心に、前後3日を含めた7日間が春のお彼岸です。
ご先祖様の霊を供養する、仏事を行う日。
ご先祖様との繋がりが一番近いところにあると言われ、
ご先祖様を想い、
と感謝をお伝えしてお供え物を、おあげします。
「彼岸」とは、向こう岸。
私たちが生きているこの世界から、安らぎの世界へと続く場所を意味すると言われています。
ちょうど『彼岸の中日』は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
その西の彼方にあるとされる極楽浄土へ、想いが届きやすい時と、
昔の人々は感じ、大切にしてきたのですね。
こうして、今も引き継がれている日本の習わし。
日々の忙しさの中で、つい忘れてしまいがちな感謝の気持ち。
お彼岸は、その大切な想いを思い出させてくれる、
ご先祖様からの贈り物のやさしい時間のようにも感じます。
そして、お彼岸といえば「おはぎ」。
数年前までは、 孫と一緒に楽しく作ったことを思い出しながら…
今年もひとり、感謝いっぱいで作りましたよ。
小豆の一粒一粒 、もち米の一粒一粒、大切に丁寧に、
作ってくださる農家さん。
小豆やもち米を育ててくれる 肥沃な大地。
その他にもたくさんの方々の愛によって、ここに来てくれていることの有難さ。
あずきの赤い色には、古来から邪気を払う力があるとされ、
ご先祖様へのお供えや家族の健康を願う食べ物として、親しまれてきました。
小豆は高抗酸化作用を持つ、
ポリフェノール、
サポニン、
豊富な食物繊維、
カリウムなどを含むスーパ-フード。
そのおかげで、
美肌効果、
貧血予防、
利尿作用、
便秘改善、
血管や血液の健康維持、
などに効果的。
沖縄の黒砂糖、甘酒で作ったこの小豆あんこと、
ほどよく潰したもち米とがひとつになるその姿は、
人と人、
過去と今、
そして目に見えない世界とのつながりを表しているようにも感じます。
ひとつひとつ丁寧に作る時間。
握る手の優しさ。
愛いっぱい伝えながら。
「動の祈り」とでも言いましょうか、
静かな祈りの時間にも似ていて、心が自然と整っていくんです。
また、『彼岸の中日』は昼と夜の長さがほぼ同じになり、
陰と陽のバランスが整う特別な時とも言われています。
そんな時だからこそ、
ご先祖様とのつながりも、よりやさしく、自然に感じられるのかもしれません。
ふと懐かしい記憶がよみがえったり、
大切な人を思い出したり、
心が穏やかになる瞬間があったりしたら
それはきっと、
見えない存在(ご先祖様)がそっと寄り添ってくれているのだと思います。
特別なことをしなくても、
お茶をやさしく淹れる時間や、静かに手を合わせるひととき。
そのすべてが、ご先祖様とのあたたかな対話であり、
今ここに生きていることへの感謝につながっていきます。
お彼岸は、
過去と今、
そして、
未来にかかるやさしい橋のような時間。
ご先祖様がいてくださったからこそ、今の私たちがある。
この命のつながりに、深く心から感謝が溢れる。
今日もあたたかいお茶を淹れ、
心穏やかな時間を過ごしていきたいですね。
この命
大切に
そして丁寧に。