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秋のお彼岸に思うこと|「おはぎ」の名前に咲いていた萩の花

『玄鳥(つばめ)去る』

と、自然の移ろいを表す日本の美しい暦「七十二候」にあるように、春に日本にやってきたツバメが、南の地域へと帰っていく頃。

暑かった夏の空気の中にも、いつの間にか秋の気配を感じるようになりました。

空の高さ。
吹いてくる風。
少しずつ短くなっていく昼の時間。

季節は、私たちが気づかないところでも、静かに移ろいはじめています。

もうすぐ秋のお彼岸。

春のお彼岸にも、私はいつものように小豆を煮、
あんこときなこの二種類のおはぎを作りました。

そして時は巡り、また、おはぎを作る季節になりました。

春は「ぼたもち」秋は「おはぎ」

私、70にしてはじめて知りました!

春のお彼岸にいただくものを「ぼたもち」、秋のお彼岸には「おはぎ」と呼び分けることがあるそうです。

その名前は、季節の花に由来するのだそう。

春は、華やかに咲く牡丹(ぼたん)から「ぼたもち」。
そして秋は、秋の野に可憐な花を咲かせる萩(はぎ)から「おはぎ」。

何十年も当たり前のように作り、食べてきたおはぎ。
その名前の中に、秋の花が咲いていたなんて。

70歳になった今も、
「そうだったのね」と初めて知ることがあります。

知らなかったことに出会えるって、なんだか嬉しいものですね。

小さな鉢植えだった、わが家の萩

わが家の庭にも、今、萩の花が咲いています。この萩、もともとは小さな鉢植えでわが家にやってきました。

その鉢を庭に置いていたら、いつの間にか、こんなに大きく育っていました。

今日、改めて眺めてみると、
「あなた、こんなに大きくなっていたのね」と思わず嬉しくて声をかけていました。

小さかったものが、いつの間にか大きくなっていく。そう思ったとき、ふと孫たちのことが浮かびました。

小さな手で一緒におはぎを丸めてくれた可愛い孫たちも、
今ではそれぞれに学校や用事があり、友達がいて、自分たちの世界があり、
その新しい世界に、幸せめいっぱいで泳いでいる。

少し寂しいような。

でも、それ以上に嬉しい。

育っていくということは、きっとそういうことなのでしょう。

 

「おはぎ」の萩は、秋の七草

萩は、秋の七草のひとつでもあります。

秋の七草は、

萩
尾花(すすき)
葛(くず)
撫子(なでしこ)
女郎花(おみなえし)
藤袴(ふじばかま)
桔梗(ききょう)

春の七草は七草粥にしていただくことでよく知られていますが、秋の七草は、その花々を眺め、季節の美しさを楽しんできたものです。

昔の人たちは、野に咲く草花の姿から、季節の移ろいを感じていたのでしょうね。

そう考えると、「おはぎ」というたった三文字からも、
日本の四季や、昔から続いてきた暮らしが見えてくるような気がします。

春のお彼岸から半年

春のお彼岸のブログを、久しぶりに読み返してみました。

そこには、数年前までは孫たちと一緒に楽しくおはぎを作っていたこと、
そして今は、その頃を思い出しながら一人で作っていることを書いていました。

あれから半年。

孫たちは、心も身体も、また少し大きくなりました。

私たち家族の時間も、過ごし方も少しずつ変わってきました。

季節も巡り、
そして私自身も、年齢をまた重ねていきます。

でも、色々な事が変わっても、
その中で変わらず大切にしていきたいものがあります。

今年も私のお城、お台所で

秋のお彼岸には、今年も私は、私のお城であるお台所に立ちます。

小豆をことこと煮て、あんこを作る。
もち米を炊いて、ほどよくつぶす。

そして、あんこときなこ、いつもの二種類のおはぎをつくります。

春の記事の中で私は、おはぎを作る時間を、
「動の祈り」と書いていました。

半年経った今も、その気持ちは変わりません。

食材を育ててくださる方がいること。
こうして自分の手で作れること。
家族と一緒にいただけること。
小豆を煮ながら、今年もこの季節を迎えられたこと。

一つ、また一つと「ありがとう」が浮かんできます。

お彼岸におはぎをお供えする理由

お彼岸におはぎやぼたもちをお供えする習慣には、古くから小豆の赤い色が邪気を遠ざけると考えられてきたことなどが背景にあるといわれています。

また、かつて貴重だった砂糖を使った甘いものをご先祖さまにお供えすることが、
感謝を表すことにもつながっていったとされています。

何気なく毎年続けてきたことにも、昔の人々の願いや感謝が込められているのですね。

でも、私にとってのおはぎには、もう一つの意味があります。

おはぎを作ることは、私の「ありがとう」

ご先祖さまへのありがとう。
食べ物へのありがとう。
今ここにいる家族へのありがとう。
そして今日も、こうしてお台所に立てることへのありがとう。

その一つひとつを、小さなおはぎの中にそっと包みこんでいきます。

春のお彼岸に作った、わが家のおはぎ(ぼた餅)です。

孫たちと一緒に作った時間も、大切な思い出として私の中に残っています。

そしていつか孫たちが大人になったとき、
「おばあちゃん、お彼岸になるとおはぎを作っていたなぁ」そんなふうに、ほんの少しでも思い出してくれたら嬉しい。

一緒に作らなくなったから、途切れてしまうのではなく、大切にしてきたものは、目には見えないところで、次の世代へとつながっていく。そんな気がしています。

小さな鉢植えだった萩が、いつの間にか大きく枝を広げ、小さかった孫たちも、それぞれの夢に向かって大きくなっていく。

そして私は今年も、その成長を嬉しく見守りながら、
感謝いっぱいの気持ちで、私のお城、お台所に立ちます。

季節は巡り、家族の姿も少しずつ変わっていく。

だからこそ、変わっていくものを優しく見送りながら、変わらず大切にしたいものを、
これからも丁寧につないでいきたい。

あんこときなこ、二種類のおはぎを作ります。

そしてお仏壇にそっとお供えし、
「今年もみんな元気に、この秋を迎えることができました。ありがとうございます」と、ご報告をしたいと思います。

今日も、この命にありがとう。
そして、巡ってきてくれた秋にありがとう。

今年もおはぎに「ありがとう」をいっぱい込めて。