「梅子黄なり (うめのみ きなり)」
この季節になると、いつも思い出します。
梅雨に入りしとしとと降る雨を恵みに、梅の実が色づき旬を迎えますね。
今年も梅干し作りができるのは本当に幸せ。
この季節には忘れられない思い出が私にはあります。
今から数年前、お義父さんが亡くなる年の6月。
その年はなぜか義父が一緒に庭の梅を収穫してくれました。
お義父さんは、寡黙な人で、普段は多くを語ることもなく
私の作業を一緒にしてくださることなど全く考えられない人でしたから。
それは信じられないほどの幸せな時間でした。
しかし、
義父はその約2ヶ月後旅立ちました。
そして不思議なことに、、、
その梅の木も同じ年に枯れてしまいました。
今になって想うばかりは、
あの日、一緒に収穫した梅と、あの時間は、
義父からの最後の贈り物だったのだと。
梅取りの時に見せた横顔と、実直で不器用な素直さを感じました。
言葉で愛情を表現する人ではありませんでしたが、
梅を手に取りながら過ごしたあの時間の中に、家族への想いや優しさが静かに込められていたと今でも思う。
梅の実に触れるたび、義父の姿が想い出され
何故か懐かしく愛おしく、今でも胸が温かくなる。
そして、義父の姿は、
今も私の心の中で静かにずっと息づいています。
一年で最も昼の時間が長くなる夏至の前後。
太陽の恵みをたっぷり受けた梅の実を手にすると、大自然の大きな循環の中で生かされていることを改めて感じます。
梅を洗い、一粒一粒を丁寧に拭きながら、
「今年もありがとう」
そんな感謝の気持ちが自然と湧いてきます。
梅は昔から『一日一粒で医者いらず』とも言われ、私たちの暮らしに寄り添ってました。
梅干しや梅酢、梅シロップ、梅酒、梅ジャムなど、さまざまな形で楽しめる梅は、
暑さで疲れやすいこれからの季節の心強い味方ですね。
その爽やかな酸味は、食欲を助け、気持ちまですっきりと整えてくれるように感じます。
太陽の光を浴びて育った梅の実には、大地の力と季節の恵みがぎゅっと詰まっています。
だからこそ、毎年こうして梅を漬ける時間は、
未来の自分や家族への大きな愛だと想い、喜んで幸せな気持ちで向き合っています。
昔から受け継がれてきた梅干し作りは、ただ保存食を作るだけではなく、
季節を味わい、自然とつながる大切な時間でもあるように思います。
我が家の庭には、梅の木は無くなりましたが、、
雨の日も、晴れの日も、
紫陽花が色とりどりに、静かに咲き続けてくれてます。
私たちもまた、季節の移ろいに寄り添いながら、
日々を慌てず丁寧に過ごしていきたいものですね。
今年の梅干しも、家族の健康と笑顔を作ってくれる贈り物になってくれそうです。
だからこの手仕事大好きなんです。
梅を洗いながら、 あの日のお義父さんに、
「今年も一緒に梅仕事ですね。」
と、語りかけながら、
一粒一粒握りしめて感謝を込めてつくります。
今年の梅も、
あの日の想い出も、
私の心の中で宝物のように息づいているから。
